2006年 08月 05日 ( 1 )

『ある日の手紙』 ⑥

修一くんへ

がくがくと恐怖に震える思いでいる。先日の手紙で作家・安部公房に
触れたけれども、もうすこし付き合ってくれたまえ。

安部公房は著作『燃えつきた地図』のなかでは、「都会」を「閉ざされ
た無限」と表し、『終りし道の標べに』においては、「荒野」を「終わりの
ない有限」と定義したそうだ。

いずれにしても、「都会」の「閉ざされた無限」には・・・・・・(ここでも
また詩人の長田弘さんの言葉を引かせてもらう)

――“力ずくですすめられた都市化の時代に、故郷の夢も逃走の
夢も阻まれた孤独な人物”たちが――“外部が外部として、風景が風
景として自立することがもはやできず、そのまませめぎあうように
どんどん、どんどんひとの内部にはいりこんできてしまい、いや
おうなくいっさいが内面化され”

――“外部がない。内面化した外部しかない。外部がけっして対象化
されないんです。そうしたけっして対象化されない「閉ざされた無限」
としての外部は、みずから外部にむきあえるようなじぶんの内部とい
うものをうしなわせちゃうんです。じぶんと他人とのあいだにあるべき
個性を信じようにも、どんなにのぞきこんだって、じぶんにみいだせる
のは外部だけ。じぶんはいないんです――。”

という「失踪」にいきついている。「逃走」はどこだろうと(じぶんが)存在
しているけれど、「失踪」はその存在が跡形もなくなってしまうしかない。
そう思うと「大都会」の東京にいるはずの自分が、跡形もなくなってしま
いそうでぼくは怖いのだ。

(文=石垣ゆうじ)
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by momiage_tea | 2006-08-05 07:57 | 石垣ゆうじ


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