2006年 08月 01日 ( 1 )

『ある日の手紙』 ②

里山さんへ

雑誌『PEN』の“クリエイティブな発想を育てる、世界の子ども教育”
特集号(No.175)を購入しました。

近頃、子ども嫌いだったぼくが絵本について語ったり、絵本の物語
を書いたり、読んだりしていることにあなたは驚くのではないでしょう
か?

いきつくところ諸問題の解決方法は、もっとも遠回りで結論の見え
にくい・・・つまり教育に委ねられるのではないかと考えるのです。

中学校の卒業文集に寄せられた、「さっぱげ先生」(佐藤という頭の
禿げ上がった体育教師がいたのです)の言葉をぼくは憶えている。
「――自分の教育が正しかったかどうかの答えは、生徒諸君が卒業
してからずっと後になってわかるはず」だと。

けれども、教育は教師や親の専売特許ではないのです。格好つけ
る訳ではないけれど、ぼくが絵本に携わろうとする理由が少しは理
解できたことでしょう。

雑誌『PEN』のある記事が目にとまりました。オランダのマロイ・フリ
ーマンという、3人の子どもの母親でもある絵本作家がこう語って
います。「子どものよき思い出のために、夢のある絵本をつくり続け
る」と。それはまさに「夢のある」素敵な仕事だと思いますが、ぼくの
仕事とは彼女のそれと違う。

彼女は「眠る前の読み聞かせは、眠りの前の儀式として、子どもに
安心感を与える」「子どもが、子ども時代を子どもとして生きる」こと
を大切に思っていて、公私共に誠実な仕事をまっとうしていることは
とても素晴らしいことです。

けれども、「夢のある」ことが「子どもらしさ」と同義だとぼくは思わ
ない。むしろ、甘味とされる子ども時代からの脱出をこころみようと
する少年少女の方が多いのではないか。反対に大人になんてなり
たくないという子どもたちも大勢いるでしょう。

どちらにせよ、「夢のある」こと、夢みることというのは儚く、切なく、
悲しみや絶望、挫折をも伴なうものだと伝えていかなくてはならな
い。なぜなら、恐怖や痛みという「夢のある」ことと対極をなす感情
のなかには優しさや思いやりのこころが芽生える要素がぎっしりと
詰っているからです。

(文=石垣ゆうじ)
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by momiage_tea | 2006-08-01 17:28 | 石垣ゆうじ


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