人気ブログランキング |

2005年 06月 17日 ( 3 )

もみあげを見る眼。6月17日(金)石垣ゆうじ記す。

《プロローグ》

ボクは梅雨の只中に生まれた人間であるからして、ジメジメすること
が多い性分である。それでも降りつづける雨にもめげず、むしろズブ
濡れになってうたい踊るジーン・ケリーの逞しい明るさを、壁肌をつた
い這って生きているカタツムリに見出し、この憂うつな季節をなんとか
乗りきろうとしているのである。

大好きなカントリー・ミュージックの比喩として語った、時の大統領、
ジョージ・ブッシュ(親父さんの方)によればホワイトハウスの執務室
には「虹を見たくば、雨に佇む」と刻まれた机が設置されてるらしい。
こういう話をきくと、ボクもカタツムリのように逆境(?)においてこそ、
強く生きていかねばならぬのだと襟を正す思いになる。


d0059157_818204.jpg


























しとしと。じめじめ。
じめじめ。しとしと。

ナナは縁側から灰色にくもった空を見つめていました。
「今晩はお散歩できるのかしらん?」

ナナはとっても水に濡れるのが大きらいなオテンバお嬢さんなので、
ぴょんこ、ぴょんことお外を駆けまわれるか、とても心配でなりません。
けれども、夕方になるとポツリ、またポツリと雨つぶが落ちてきました。

小鳥たちは大きな樹の枝にとまって羽を休めたあとでしたし、蟻さん
やミツバチさんたちも、お仕事を終えてマイ・スウィート・ホームでゆっくり
くつろぎ始めるところでした。

ナナは、カエルさんたちが6月の梅雨闇の夜をひとり占めした歓喜を、
オペラで合唱しはじめるのを聴くと、いつもノイローゼになります。

今夜はおしっこを我慢して、まぶたの裏でお散歩をする夢でも見よう。
ナナがタンスの抽斗(ひきだし)でできたお部屋にもどろうとしたそのとき
でした。

「ほら行くぞ、ナナ!」

ご主人のその声を聴くと、ナナはロールパンみたいにくるんと巻いた
しっぽを、ほんのちょっとだけゆさゆさと揺らしてみせました。それでも、
ツタツタ、ツタツタと地面にしたたる雨音を確認すると、あからさまに
ご主人の誘いを無視するのでした。

ナナは、アンモナイトの化石のように丸まって、うわ目づかいでチロッ
とご主人の様子をうかがっておりましたが、ご主人は、ナナがふて寝
をしていることを知っていたいたので、黙ってナナの首輪にお散歩用
のリールを括りつけるのでした。

ご主人が人さらいのような甘い声をかけてくるので、ナナはなおのこと
警戒心を強化してアンモナイトに徹するのでしたが、ご主人の右手に
ちらりと見えかくれする、おやつバーの誘惑にはとてもかないません。

口におやつをくわえたままのナナは、気がつくと雨の中を駆けていました。
最初のうちはいやいやだったナナでしたが、たくさんの雨水がたくさんの
小川をつくっていきおいよく流れていくのや、いつもより草のいい匂いが
ただよってくることがわかると、次第にご機嫌になるのでした。

お散歩の途中でぶるぶるっとやると、なぜかご主人は「やめとくれ」と
悲鳴をあげるので、ナナはだまされて散歩につれてこられたお返しが
できたようで、おかしくてたまりません。

もう少しでお部屋にたどりつくというところでした。ナナがすっきりした
顔で三軒となりのお宅の前をとことこと歩いていると、塀にちっちゃな
アンモナイトがいるのを発見しました。

ナナがクンクンとそのちっこいのを偵察していると、ご主人が「そいつは
カタツムリというのだよ」と教えてくれました。

そのカタツムリとやらは恥ずかしがり屋さんらしく、ナナが鼻先でご挨拶
すると、モジモジして殻に閉じこもるのでした。

でもナナは、カタツムリとはいいお友だちになれそうだと思いました。
なにせカタツムリは誰よりも雨の素晴らしさを知っているように思えた
からです。

ナナはこの次には、このお友だちと一緒に雨のあとにサラサラと輝く
大きな大きな虹を見てみたいと思うのでした。     (おしまい)

■文/石垣ゆうじ 
□絵/トモっト
by momiage_tea | 2005-06-17 06:54 | ゆうじ × TOMOt

もみあげを見る眼。6月17日(金)石垣ゆうじ記す。

「お陰様で次女が(生まれ)家族入りしました」と、おめでたい知らせを
報告してくる友がいれば、そのあくる日には「来月でパン屋がなくなる。
また無職。せちがらい世の中ですなぁ・・・」などと侘しい知らせをくれる
友もいる。

そもそもボクは薄情な男であるから、こういった親友の悲喜こもごもに
接しても、ただ、ケ・セラセラなとても愉快な気分に浸りきっているだけ
なのである。が、しかし・・・。

大海や星夜を眺めやって「自分の存在や悩みなんて大したもんでは
ない」などと、おセンチな自己回復術をいちいち駆使する必要もなく、
ボクにとって友人たちの動向――成功や挫折――は常にボクを励ま
してくれる貴重なバロメーター的存在でもあるわけだ。

「オレもあいつにゃ負けてられん」とか「なんだオレもまだ大丈夫だべや」
なんて安っぽい焦りや安堵をくりかえしつつも、彼らはボクにとって――
己の生活における微々たる軌道修正の機会を与えてくれる、欠くこと
のできない宝物なのである。

可能ならば、ボクもいつまでも燻っていないで、そんな盟友たちの心を
温めて、潤して、燃やしてあげられるくらいの「かがり火」みたいな人間
になりたいものだ。(本当にだ)

こんな赤面ものの恥ずかしい文章はボクとて書きたくないのだ。(本当だ)
それに読者諸君もちっとも読みたいとは思わないであろうが、こうしてたま
には、ボクにも純粋な気持ちのかけらが残されているということをお伝えし
ておくのも決して悪いことではいと思うのだ。

by momiage_tea | 2005-06-17 06:34 | 石垣ゆうじ

もみあげを見る眼。6月17日(金)石垣ゆうじ記す。

行き着く先が地の果ての牢屋であろうとも、もはやボクらは留まることを
知らないボニー&クライド、パンチョ&レフティ、テルマ&ルイーズ、あるいは
トム&ハックルベリーフィンの域まで来てしまったのだ。メルシー人生!

元『週刊プロレス』編集長のターザン山本さんがよくいっていたものだ。
「都会とは“都で会う”から都会なのだ」と。もし、この東京という土地で
誰とも出逢わなければ、それは不幸以外のなにものでもない――。

そういう観点からすれば、ボクの故郷である仙台は、いちおう「杜の都」と
か「東北の雄」などと称されている大都市のひとつではあるが、人と人の
目覚しい出逢いなどは極めて稀な、平凡な地方都市でしかあり得ない。

であるからして、中学生の頃に心底惚れていた女の子とばったり出くわして
どうにかなる、なんてこともなく、せいぜい近所のオヤジに盛り場での失態
を目撃され、その後の付合いがギクシャクする――とか、会社の上司にデ
ート現場を目撃されて月曜の朝から冷やかされるぐらいが関の山なのである。

そんなわけで、大都会のいい出逢いに導かれ、今宵のボクは、とあるジャズ
喫茶での密会にご出席予定となっている。もしもボクがその席で羽目を外
して醜態を晒していなければ、きっとあなたとボクは良いお付き合いが出来
る素敵な仲なのであろう。

by momiage_tea | 2005-06-17 06:29 | 石垣ゆうじ


モノ書き石垣ゆうじとモノ描きTOMOt「もみあげ亭」二人による気まぐれ日記


by momiage_tea

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

リンク


■もみあげ亭アーカイブ
もみあげ亭ブログより抜粋した、選りすぐりのストーリをお届けします



■絵日記「TOMOt日和」
絵かきTOMOtの、旅とARTを感じる日々のおこぼれ日記



■木小屋日記(けごや日記)

山形県小国町在住のかご作家・炭焼き職人のブログ




ブログパーツ

カテゴリ

全体
ゆうじ × TOMOt
石垣ゆうじ
TOMOt
写真
TOMOt DesignWork

以前の記事

2012年 08月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 07月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月

タグ

(8)
(6)
(6)
(5)
(3)
(2)
(1)
(1)
(1)
(1)
(1)

その他のジャンル

ブログジャンル

画像一覧