アルバム “ twin fiddles ” より⑥ (毎週水曜日更新)
【せせらぎ】
どこの川だか覚えてない。づっと遠くだ。
初夏のやわらかな日差しのなか、
せせらぎが銀色に輝いていた。
ぼくとおにぃ(兄)は下流でダムをこさえ、
夕方には破壊した。おやじと中島のおじさんは、
釣果を自慢しあい、肩を叩きあっていたものだ。
帰りの車中で、母さんは大漁を喜んでくれる
だろうかと考えた。きっとうまく料理してくれる
のだろうと・・・。
どこの川だか覚えてない。づっと西だ。
初夏のやわらかな日差しのなか、
ひざまで浸かってはしゃいでいた。
ぼくはおにぃ(兄)の寝ている脇で、
車窓から、見知らぬ町が暮れなずむのを眺めてた。
そして母さんも来ればよかったのにと、寂しくなった。
婆ちゃんの世話をしなければならないのなら、
婆ちゃんも連れてきたらよかったのに。そうしたら
婆ちゃんは、むかし話をしてくれたかも知れない。
どこの川だか覚えてない。ずっと遠くだ。
初夏のやわらかな日差しのなか、
せせらぎが銀色に輝いていた。
どこの川だか覚えていない。山をいくつも越えたとこだ。
ぼくが大きくなったら、子どもときれいな奥さんを連れて、
その川を目指すだろう。
どこの川だか覚えていない。だけど辿り着けるはずだ。
ぼくが大きくなったら、婆ちゃん(母さん)も連れてゆくんだ。
あのせせらぎが銀色にかがやくところへ。
■
(石垣ゆうじ)
どこの川だか覚えてない。づっと遠くだ。
初夏のやわらかな日差しのなか、
せせらぎが銀色に輝いていた。
ぼくとおにぃ(兄)は下流でダムをこさえ、
夕方には破壊した。おやじと中島のおじさんは、
釣果を自慢しあい、肩を叩きあっていたものだ。
帰りの車中で、母さんは大漁を喜んでくれる
だろうかと考えた。きっとうまく料理してくれる
のだろうと・・・。
どこの川だか覚えてない。づっと西だ。
初夏のやわらかな日差しのなか、
ひざまで浸かってはしゃいでいた。
ぼくはおにぃ(兄)の寝ている脇で、
車窓から、見知らぬ町が暮れなずむのを眺めてた。
そして母さんも来ればよかったのにと、寂しくなった。
婆ちゃんの世話をしなければならないのなら、
婆ちゃんも連れてきたらよかったのに。そうしたら
婆ちゃんは、むかし話をしてくれたかも知れない。
どこの川だか覚えてない。ずっと遠くだ。
初夏のやわらかな日差しのなか、
せせらぎが銀色に輝いていた。
どこの川だか覚えていない。山をいくつも越えたとこだ。
ぼくが大きくなったら、子どもときれいな奥さんを連れて、
その川を目指すだろう。
どこの川だか覚えていない。だけど辿り着けるはずだ。
ぼくが大きくなったら、婆ちゃん(母さん)も連れてゆくんだ。
あのせせらぎが銀色にかがやくところへ。
■
(石垣ゆうじ)
by momiage_tea
| 2007-02-07 00:00