ささめやゆき展~ぶりきの船に乗って~ (10月29日)

月刊文芸誌「すばる」の表紙を飾った作品や絵本「マルスさん
とマダムマルス」「幻燈サーカス」の原画など、いずれも親しい
作品の数々に、観るもモノの顔には自然と笑みが零れる・・・。
ささめやさんの作品には仰々しいところがないのがいいのだ。

ボクは光と影の世界が好きで、例えばプロレスの地方興行を
観るのを生き甲斐にしていた時期があった。リング上で眩いス
ポットライトを浴びたプロレスラーはいわば旅芸人である。己の
肉体を酷使し、観客をヒートアップさせる。そして彼らはまた次
の土地へと旅立ってゆくのだった・・・。

大男が巡業バスに揺られて会場を去った後には、重たく冷たい
照明の下で、リング屋がまだ場内の撤去作業に追われている。
観客がひとり残らず帰ってしまっても、リング屋のトラックがいな
くなるまではプロレス興行の幕は完全に下ろされた訳ではない。
聖なる一回性の余韻。祭りの後の寂しさ。空騒ぎの後の空虚だ。

しかし、それはプロレスというものを愛したひとりの人間の勝手
なストーカー行為の末の未練である。あるいは人一倍プロレス
というものを掌握しようとした挙句の果ての残骸だ。表も裏も愛し
てしまわなければならなかったのである。それを見届けることは、
ボクにとって不幸ではなく、むしろ幸福なことであった。

けれども、ボクのように物事を見つめすぎると、亡霊に憑かれて
しまって精神に障害をきたすことになるから注意が必要である。

その点、ささめやさんの作品には、雑誌「すばる」の表紙を担当
したことに関して本人が語っている――「プレッシャーもかかり
ました。ひん弱なイマジネーション、何も浮かばず、白い紙の前
でただただ絶望していたこともあります」――のような苦悩(影の
面)が観る側には決して伝わってこない。

サーカスや映画のような非日常の世界を描いても、灯かりが眩し
すぎることもなければ、暗闇に落ち込むということもない。彼の作
品を通じてボクらが受け取るのはただ、近しい友人のような親しさ
とほんのりとした耀さだけなのである。

(裕)
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by momiage_tea | 2005-10-29 08:32


モノ書き石垣ゆうじとモノ描きTOMOt「もみあげ亭」二人による気まぐれ日記


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