偏屈爺さん


驚かされてしまうのはいつも自分にであって、ほとんどすべての世間の出来事に
ついて関心を失ってしまっているわたしは、周囲の人びとから影響をうけることも
皆無だった。わたしが動揺してうろたえるのはそれでも他者と接触したときに限っ
ていたのだったが、そうした困惑は相手の存在や受け入れなければならない無
理難題によって生じるのではなく、その問題への驚愕的なまでの応用力のなさ
によってだった。わたしは人生に対して狭心症を患っている偏屈爺さんだった。

老人と呼ばれる年齢には程遠い若輩者であったとしても、心を閉ざして凝り固ま
っているような人間はすべて偏屈爺さんと呼ばれて然るべきであろう。ふつう世の
殿方は仕事を引退して老後を暮らすようになったら、もうその時点で能無しなのだ。
炊事洗濯と諸々の家事に手腕を発揮することもなく、微々たる貯えの有る無しに
関わらず、男たちはある種の生活不能者に陥ることとなる。

街に出て繁殖に精をだすこともできないのならば、もはや生き物としてはジ・エンド
なのだ。しかし諺にもある通り、「ひとりの人間が亡くなることはこの世から図書館
が消えてしまうのと同じこと」を意味する訳で、老いてもなお役立ちつづける偉人も
いるものだ。だからここは爺さんという呼び名ではなく、成長が望めないばかりか
応用力にも乏しい老成した人物の代表として、偏屈爺さんと呼称したいと思う。
そんな偏屈ジジイの代表であるわたしに光明を与えてくれる人がいた……。

(文=いしがきゆうじ)
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by momiage_tea | 2009-07-13 21:37 | ゆうじ × TOMOt


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