『A列車でいこう』を聴きながら・・・ (8月28日)

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いつもとちがう職場の帰り道。偶然みつけた酒屋さんにぶらりと立ち寄る。
居並ぶスコッチやらバーボンやらワインのボトルの魅惑的な美しさといっ
たらない。産地は違えど、みなパリの高級娼婦のような妖艶な気高さに
満ちている。たんなる嗜好品にしておくのはもったいない。

そもそも飲むのではなく、絵の題材になるボトルを探しに店に入ったのだ。
けれども酒の使命は飲まれること。天寿をまっとうさせてやらねば罰が当
たるというものだ。そこで考える。自分が12年物の琥珀色の飲み物にふさ
わしい人間かどうかを。昨日ときょうは頑張ったが、週単位でみるとズボラ
丸出しの生活だ。負け犬、飲むべからず。

例えばワイン。
「ワインはきちんと働いてそれを飲むに値する人々のためのものだ」
そういったのは詩人のシャルル・ボードレールである。

ボクはなにも買わずに酒屋を後にした。酒屋泣かせ、酒屋の敵である。だが、
酒があるからいい人生なのではなく、いい人生があってこその酒なのだ。12
年も樽のなかで寝かされ、はるばる船にのって日本へやってきた彼女(あるい
は彼ら)たちを邪険に扱ってはならない。

ひねくれ者は損をする。アパルトマンの二階の小部屋に涼風が舞い込み、
この秋はじめてスズムシの音を聴いた。リンリン、コロコロと秋虫が鳴くのを
肴にいっぱい飲ったら、さぞかし美味かったことだろう。今宵、ボクは布団に
寝転び、ラジヲから流れる美空ひばりの“ A列車で行こう ”の彼方にトクトク
と注がれるモルト・ウィスキーの香りを夢想するのだった。

(文 石垣ゆうじ)


酒ヲノンデ言霊吐ケ!
ナニヲ躊躇スルコトアロウカ。

□■
(絵 トモット)
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by momiage_tea | 2005-08-28 22:03 | ゆうじ × TOMOt


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