天文台 (8月2日)
プラネタリウムはシンプルな方がいいに決まっている。その季節ごとの星座の
物語(解説)に、グッとくるBGMのひとつも聴かせてくれればそれだけで十分な
のである。そういう意味では仙台の西公園内、源吾茶屋の裏手にある天文台
は文句なしの施設である。入場料金もたしか300円ぐらいだったはずだ。
ただし、最終回は午後4時でおしまいなので仕事帰りの訳ありカップルがいちゃ
つくには向かぬ施設である。ここはお役所が運営している建物だし、もとから娯
楽施設として建っているのでもないから、夕方で店じまいするのも仕方ない気は
する。それでもせめて金曜の晩ぐらいは深夜営業してくれても罰は当たるまいに。
最近、都内の某プラネタリウムで現実逃避してきたボクだが、その日みたプログ
ラムは「星降る沖縄」という番組だった。沖縄出身のBEGINの名曲と南国の星空、
それに土地にまつわる民話などを織り交ぜて送る40分あまり・・・。
恐らくは他のCG番組「宇宙の果てへ」や木々の香りも堪能できるというヒーリング
番組「星の森」に較べれば、もっともベーシックなプログラムがこの「星降る沖縄」
なのであろう。選択に間違いはなかった。けれども、その完成されすぎた空間にボク
は些細な違和感を感じずにはいられなかった。
どうしてなのだろうと考えていたら、すぐにも答えがみつかった。仙台の天文台は今
でも施設の担当者がその回毎に生でアナウンスしながらボクらを宇宙へと導いて
くれるのである。「星降る沖縄」の女性ナビゲイターの声は、あまりにも沖縄弁が達
者すぎたし、進行もスムーズ過ぎたさぁ・・・。(オートメーション化されてるのだから
当たり前である)
しかし、古き佳き我らの天文台は違う。妙にどもる案内人がひとり昔からいて、解説
を聴いているこちら側は時間通りに終わるのかとついハラハラさせられてしまうのだ
った。選曲もこの人が自ら担当しており、その声からは想像もつかないロマンチック
な趣味で、いきなりシャルロット・チャーチの「ビエ・イエズ」なんかをかけてくる。「野
郎なかなかやるな!」などと悔しくなりながらも、夜目にもまばらな観客は人知れず
ほおを濡らすのであった。
■
(石垣ゆうじ)
物語(解説)に、グッとくるBGMのひとつも聴かせてくれればそれだけで十分な
のである。そういう意味では仙台の西公園内、源吾茶屋の裏手にある天文台
は文句なしの施設である。入場料金もたしか300円ぐらいだったはずだ。
ただし、最終回は午後4時でおしまいなので仕事帰りの訳ありカップルがいちゃ
つくには向かぬ施設である。ここはお役所が運営している建物だし、もとから娯
楽施設として建っているのでもないから、夕方で店じまいするのも仕方ない気は
する。それでもせめて金曜の晩ぐらいは深夜営業してくれても罰は当たるまいに。
最近、都内の某プラネタリウムで現実逃避してきたボクだが、その日みたプログ
ラムは「星降る沖縄」という番組だった。沖縄出身のBEGINの名曲と南国の星空、
それに土地にまつわる民話などを織り交ぜて送る40分あまり・・・。
恐らくは他のCG番組「宇宙の果てへ」や木々の香りも堪能できるというヒーリング
番組「星の森」に較べれば、もっともベーシックなプログラムがこの「星降る沖縄」
なのであろう。選択に間違いはなかった。けれども、その完成されすぎた空間にボク
は些細な違和感を感じずにはいられなかった。
どうしてなのだろうと考えていたら、すぐにも答えがみつかった。仙台の天文台は今
でも施設の担当者がその回毎に生でアナウンスしながらボクらを宇宙へと導いて
くれるのである。「星降る沖縄」の女性ナビゲイターの声は、あまりにも沖縄弁が達
者すぎたし、進行もスムーズ過ぎたさぁ・・・。(オートメーション化されてるのだから
当たり前である)
しかし、古き佳き我らの天文台は違う。妙にどもる案内人がひとり昔からいて、解説
を聴いているこちら側は時間通りに終わるのかとついハラハラさせられてしまうのだ
った。選曲もこの人が自ら担当しており、その声からは想像もつかないロマンチック
な趣味で、いきなりシャルロット・チャーチの「ビエ・イエズ」なんかをかけてくる。「野
郎なかなかやるな!」などと悔しくなりながらも、夜目にもまばらな観客は人知れず
ほおを濡らすのであった。
■
(石垣ゆうじ)
by momiage_tea
| 2005-08-02 00:54