映画『幸せの始まりは』について

ソフトボール全米代表チームの主力だったリサ(リース・ウィザースプーン)は、三十路をこえた
ところで苦境に立たされる。監督が替わりチームをお払い箱になったばかりか、恋人のメジャー
リーガー、マティ(オーウェン・ウィルソン)のプレイボーイぶりに心を落ち着けることができない。
そんなとき出逢った男ジョージ(ポール・ラッド)は、少々抜けたところはあるけれどマティとは正
反対のまじめな男だった。けれども、父の貿易会社で働く彼は国税局の監査にひっかかり父の
代わりに収監の危機に立たされていた。満ち足りた暮らしのなか、遊び人のマティは心を入れ替
えリサへの忠誠を誓い、ジョージは父の身代わりになるか義理を通すかで頭を悩ませつつも、リ
サに出逢い本当の生きる道を見いだすのだった。そうしてリサは人生を捧げてきたソフトボール
界から引退を決意し、なにを拠り所にし、なにを選びとって生きてゆくのか。

とまあ、そんなことはどうでもいいのである。すべてはジョージの部下である女性秘書の出産と、
出産後の彼女と旦那のやりとりに凝縮されていた。その人生の妙味としかいえないものに、観る
者は素直にこころを委ねれればよいのである。それまでのドタバタ喜劇が、その後物語の終焉
へ向けてすっと胸に染みいる作品になるから不思議だ。・・・・・・我が子を産みあげたばかりの女
に、男はまだ正式な求婚をしていない。四〇歳で無職の男は、このまま結婚を口にしても返って
女を不安に陥れてしまうことを知っていた。そうして優しすぎるためにあれこれ思い悩んでばかり
いる彼女が、もし他の男と暮らしていたなら果たして彼女は幸せになれただろうか、と自問する。
(それは映画では描かれていない) 男の答えはノーだった。よその男には仕事も金もあるかもし
れない。しかし、彼女の繊細な優しさを、そうした男たちは奪ってしまいかねなかった。それだけ
は絶対に許してならいのだ。その男にとって幸せとは、守るべきものがまだあるということだった。

(文=石垣ゆうじ)
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by momiage_tea | 2011-02-24 21:54 | ゆうじ × TOMOt


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