どんと祭

正月、家にやってきた神様をお送りする小正月の伝統行事「どんと祭」。
山と積まれた松飾りやダルマが燃えさかる周囲を、白いさらし姿に鈴と
提灯を持ったハダカ参りの男衆が勇ましく練り歩く。さらにそのまわりを
参拝者が幾重にも重なって、火にあたり、この一年の家内安全と無病息
災を祈るのだ。私は今年もヒロコと大崎八幡宮へやってくることができた。

お焚きあげの炎に顔を火照らせたヒロコは、腹や尻に熱気をあてがい、
真剣な表情で子宝を願っている。私はそんな彼女をみると、いつもチェー
ホフ作品に出てくる女たちを連想した。純真でしたたかなロシアの女たち。
彼女たちも、ヒロコとおなじ労わりのある温かな笑顔をみせるのだろうか。

参拝を済ませた私たちは、御守を買わなかった。おみくじは引いた。私が
小吉でヒロコは大吉だった。しかし、そこに書かれてあることはちゃんちゃ
らおかしいような気がした私たちは、そのおみくじを枝に結びつけた。そう
して甘酒を飲んで、屋台の裏の階段に腰掛けてお好み焼きを頬張った。
今年は玉こんにゃくは食べなかったけれど、店の親父は元気そうだった。

牛越橋をわたるとそれだけで体温が奪われた。眼下の広瀬川は月に照ら
され、そのせいで鋭い冷たさを増しているように思えた。車に逃げ込むよう
にして押し入りすぐにドアを閉めた。カラダの震えはすぐに治まるはずもな
く、私はヒロコの太腿と座席シートの間にむりやり手を差し込むと手を温め
た。彼女はそんなことには構わずに、ただただ凍てつく寒さに怒りを露わ
にした。そして、身を乗り出すとそっとアクセルを踏み込むのだった。

(文=石垣ゆうじ)
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by momiage_tea | 2011-01-15 00:16 | ゆうじ × TOMOt


モノ書き石垣ゆうじとモノ描きTOMOt「もみあげ亭」二人による気まぐれ日記


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