映画『シルビアのいる街で』について

気ままに画家修業に励む男がいた。ホテル暮らし。オープンテラスのカフェ
の喧騒に紛れて、男は自由と女たちのデッサンを貪るのだった。ノートには
女たちの素描とともに“シルビアのいる街で”の走り書き。ということは、男は
そもそも六年前にこの街で出逢ったひとりの女を探し求めて、ひたすらそこ
でたむろしているというわけだ。男はとうとうシルビアと思しき女を見つける。

あとはフランスの古都ストラスブールを舞台に、執拗に女を追跡する男の
愚行が描かれるだけだ。名前を持たない男を演じたグザヴィエ・ラフィットは、
美しい男だ。どこをどう切り取っても美しいストラスブールの街並みよりも、
女(ピエール・ロペス・デ・アジャラ)よりもだ。しかも図抜けている彼の美貌が
単なるストーカー行為を不実の純愛にまで高めるのだった。

監督の手腕ではなく、この映画の勝利はただグザヴィエ・ラフィットの憂いに
満ちた表情の美しさによるところが大きい。映画が私たちにとって夢の配給
元であることは事実であっても、3Dを駆使したSF映画を観たのでもなし、人
間のある視点をまざまざと描いて、なおも桃源郷を垣間見たかのような錯覚
をこころに残させてしまったこの作品に、私は冤罪をきせられた思いでいる。

(文=石垣ゆうじ)
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by momiage_tea | 2011-01-05 23:56 | ゆうじ × TOMOt


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