伝統芸能プロレス。(6月26日)
昨夜、テレビ朝日で『坂口征二・憲二親子プロレスの旅~僕の中のリング~』
という番組を見た。元プロレスラーの坂口征二がかつて米国武者修行時代に
訪れた土地とゆかりの人物を訪ね歩き、息子で俳優の坂口憲二がその父が愛
したプロレスの魅力をひも解くという内容であった。
ひとつの紀行番組としても十分楽しめたが、古くからのプロレスファンを納得さ
せるだけのメンツが登場して、ボクもプロレスというものを改めて再評価するに
至ったわけである。
元NWA世界ヘビー級チャンピオンとして、永くプロレス界のトップに君臨しつづ
けた伝説のレスラー、ハリー・レイス。プロレスラー養成スクールを主宰する彼
に、レスラーとして大事なことを訊ねるとレイスは「タフに戦い、安全にやること」
と答えていた。
プロレスの「神様」と謳われた81歳のカール・ゴッチは今でも現役レスラーから怖
れられる泣く子も黙る鬼軍曹であるが、興味本位の坂口憲二にひと通りのトレー
ニング法を伝授した後で、「レスラーというものがわかったか――?」と、「ハイ」と
返事せざるを得ない無茶なシゴきでを素人をいたぶるあたりはさすがであった(笑)。
往年の名レスラーで、レイスと同じくレスリング学校を運営するスティーヴ・カーン
の教えも単純なものだった。「他のレスラーとは違うこと」が重要だと彼はいった。
「観客に覚えられることだ」といって、若い生徒に観客に伝わる「痛がり方」を指導
してみせるのだった。
63歳になっても未だにリングに上がり続けるドリー・ファンク・ジュニアはその理由
を「楽しいから」だといった。「(一生)辞めないかもしれないよ」といって清々しく笑っ
てみせた彼の表情がたまらなく素敵に思えた。
番組の最後にレスラーやファンや関係者たちが「自分にとってのプロレス」を表現
してくれた。「人生」「情熱」「欲望」「たくさんの男がマッチョになっていく所」「楽しい
時間」「自分そのもの」「素晴らしい旅」「存在意義」「夢」「輪廻転生」「酒のつまみ」
「アート」「人間ドラマ」「なくてはならないも」「エキサイティング」「タフな心」「肉体の
ぶつかりあい」「生き方」・・・・。
その中でボクがハッとする言葉があった。明日のスターを夢見るグリーンボーイの
ひとりがいった「伝統」というのがそれだ。「伝統」。どんなに闘いのスタイルや環境
や時代が変わっても、幾度となく繰り返されるリング上のレスラーと観客との共同
作業――非日常の空間の創造――すなわちプロレスは、「伝統」という重々しい単
語に集約されてしかるべき価値あるものだろうとボクは思う。
■
という番組を見た。元プロレスラーの坂口征二がかつて米国武者修行時代に
訪れた土地とゆかりの人物を訪ね歩き、息子で俳優の坂口憲二がその父が愛
したプロレスの魅力をひも解くという内容であった。
ひとつの紀行番組としても十分楽しめたが、古くからのプロレスファンを納得さ
せるだけのメンツが登場して、ボクもプロレスというものを改めて再評価するに
至ったわけである。
元NWA世界ヘビー級チャンピオンとして、永くプロレス界のトップに君臨しつづ
けた伝説のレスラー、ハリー・レイス。プロレスラー養成スクールを主宰する彼
に、レスラーとして大事なことを訊ねるとレイスは「タフに戦い、安全にやること」
と答えていた。
プロレスの「神様」と謳われた81歳のカール・ゴッチは今でも現役レスラーから怖
れられる泣く子も黙る鬼軍曹であるが、興味本位の坂口憲二にひと通りのトレー
ニング法を伝授した後で、「レスラーというものがわかったか――?」と、「ハイ」と
返事せざるを得ない無茶なシゴきでを素人をいたぶるあたりはさすがであった(笑)。
往年の名レスラーで、レイスと同じくレスリング学校を運営するスティーヴ・カーン
の教えも単純なものだった。「他のレスラーとは違うこと」が重要だと彼はいった。
「観客に覚えられることだ」といって、若い生徒に観客に伝わる「痛がり方」を指導
してみせるのだった。
63歳になっても未だにリングに上がり続けるドリー・ファンク・ジュニアはその理由
を「楽しいから」だといった。「(一生)辞めないかもしれないよ」といって清々しく笑っ
てみせた彼の表情がたまらなく素敵に思えた。
番組の最後にレスラーやファンや関係者たちが「自分にとってのプロレス」を表現
してくれた。「人生」「情熱」「欲望」「たくさんの男がマッチョになっていく所」「楽しい
時間」「自分そのもの」「素晴らしい旅」「存在意義」「夢」「輪廻転生」「酒のつまみ」
「アート」「人間ドラマ」「なくてはならないも」「エキサイティング」「タフな心」「肉体の
ぶつかりあい」「生き方」・・・・。
その中でボクがハッとする言葉があった。明日のスターを夢見るグリーンボーイの
ひとりがいった「伝統」というのがそれだ。「伝統」。どんなに闘いのスタイルや環境
や時代が変わっても、幾度となく繰り返されるリング上のレスラーと観客との共同
作業――非日常の空間の創造――すなわちプロレスは、「伝統」という重々しい単
語に集約されてしかるべき価値あるものだろうとボクは思う。
■
by momiage_tea
| 2005-06-26 13:56
| 石垣ゆうじ