映画『扉をたたく人』について


その後もウォルター教授はジャンベ(アフリカン・ドラム)を叩き続けるのだろうか?
きっと四人のピアノ教師をクビにして、ピアノを売り払ったときみたいにジャンベの
演奏も止めてしまうのではないだろうか。シリアに強制送還させられた息子タレク
の後を追って、アメリカからの出国を決意したモーナは、ウォルターにとって最後
の女性になるはずひとだった。だから、再び生きることの意味を教えてくれたジャ
ンベの音色は、叩けば叩くほど悲しみを募らせてゆくばかりの相棒になってしまう。

ウォルターはけっして馬鹿な人間ではないし、悲しみを芸術に昇華させるだけの腕
を持ったミュージシャンでもないから、それを良しとはせずに、一度はこじ開けた扉
をまたそっと元に戻してしまうのではないだろうか? 『扉をたたく人』、この作品は
久方ぶりに物語のその後を考えさせられる映画だった。「仕事をしているふり、忙しい
ふり、ふりだけ」で今まで何もしてこなかったという初老の大学教授が感情を露に
したのは、不法滞在の青年が教えてくれたジャンベの演奏とそして9・11後、寛容
さを失ってしまったアメリカだった……。なにひとつとして解決しないし、変わらない。
もし変化を遂げるものがあるとするなら、やはりそれはウォルターのその後なのだ。

http://www.tobira-movie.jp/

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(文=いしがきゆうじ)
(絵=TOMOt
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by momiage_tea | 2009-08-09 22:28 | ゆうじ × TOMOt


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